被災地の現状は地域ごとに異なっていると思いますが、
ニュースなどを見ますと、ふた月経ったにも関わらず、まだまだ被災された当時から大きく改善されてきたわけではないようです。
前にも書きましたが、被災から復興までには、大まかに次の5つのステージがあるように思います。
STAGE-1 被災者救助・ライフラインの確保・捜索の時期
STAGE-2 被災者生活支援・被災地被災後片付け
STAGE-3 被災者仮設住宅建設入居・生活基盤復旧と就業の場の確保
STAGE-4 被災者生活基盤の確保(仮設住宅・就業の場)と
災害状況分析評価・復興構想立案
STAGE-5 復旧・復興・街づくり推進
今の現状はまだ、STAGE-1~2でやっとSTAGE-3に手がついたといったところでしょうか?
国土交通省の発表では交通関係は4/末現在で、海岸ルートと港以外はほぼ復旧したようですが、
今回の災害にあたっては災害規模の異例な大きさ・行政組織の被災
にも起因しますが、全体的に対策実施がかなり遅れているように感じます。
多くの被災者の方々はまだ避難所生活のままだし、被災地は道路こそ通れるようにはなってきているようですが、瓦礫の山の処理は遅々として進んでいません。
STAGE-3 被災者仮設住宅建設入居・生活基盤復旧と就業の場の確保
が今一番急がれているステージでしょう。
ハード的には、やはりまず真っ先に進められるべきは瓦礫の処理と仮説住宅の整備です。
何と言っても被災者の方々は生活状況の改善を必要としているし、再建のためにはまず瓦礫の処理が不可欠です。
管総理大臣は8月お盆までには、何としても仮設住宅の整備をすると言われているが、果たして今のままではどうでしょうか?
早急な仮説住宅の整備なしでは折角、被災から生き延びたにもかかわらず、次のステップ、生活再建へは進めません。一日も早い避難所生活からの脱出が必要です。
仮説住宅の建設についても、新たな防災の観点からの高台への建設、が目指されているし、一律的な標準プランの仮説住宅しか、今は対応できないでいます。
これには大きな問題がある。いままでの災害に基づく被災者救済の経験からの対処方法ではあるが、いままでの災害は点的被災であり、被災地の範囲は極めて限定的で、周辺には場所も、文化的環境もあったことから、それでも良かったのであるが、今回の被災は極めて広範囲であり、被災者の数も甚大であり、周辺も被災地であることもあって、仮説住宅の用地の確保もままならないし、建設も量的に全く追いつきません。
あくまで緊急避難的建設であることから、防災的観点の用地選定も一律的標準プランも今回はちょっと横に置いておく必要があるでしょう。
早急な大量仮説住宅の確保を優先すべきだし、街や村の存続のためにはコミュニティの人間関係の確保が不可欠だし、標準的機能の確保より臨機応変的プランと仕様を採用すべきです。
標準プランの仮説住宅は資材の確保も建設も現地での地元生産には向かないし、また各戸が全て機能を満たした独立型である必要はなく、複数所帯向きの寮だってokだろう。地元の工務店や大工さんたちの力でできるだけ早く資材調達可能で量を確保して作れるものとすべきでしょう。
仮設住宅建設を地元で調達できる資材で地元の人々で作ることは単に被災者救済のための住宅の確保と言うだけでなく、産業の復興・就業機会の確保という点で自力での復活の足掛かりとなることから地元の経済復興にとっても非常に重要です。
産業の復活、復興、新規育成がどれほど重要かは自明です。
瓦歴の処理も、基本は国費による救済措置であるが、救済金や見舞金などより、被災者の一時雇用でも就業の場の確保として重要で、働いて金を稼ぐということが生きがいの確保として大きな重要性を持つのです。
被災者救済は最優先課題であり、ここでも大いにその方策を検討し実行していく必要があるが、さらに一層重要なのは将来へむけての復興・振興策、「再建・振興計画」でしょう。
ここで一つの提案です。
今回の被災は日本全体がうけた災害であり、日本人全てが対処すべき災害です。
東北にいない日本中の方々、特にモノづくりに関わる方々、建設関連従事者の方々は、募金や無償の直接ボランティア以外で、どうすれば自分も力を貸せるだろう?と自問自答し、指を噛み続けていることだろうと思います。
今回の被災からの復興には、多くの建設関連従事者の方々の力が必要です。
↑に書いた多様な対応可能な仮設住宅や、復旧工事のアイデア、設計、工事等に日本中の知識、技術力の結集・支援は不可欠だと思います。
でも、東北以外のそれらに力を貸せる人々は募金や無償の直接ボランティアでは、力を貸すことはできません。そこで、提案です。
それは、
①義捐金の使い方として、被災者への直接支給だけでなく、「有償による被災者支援、復旧支援」を実施する。
②地元自治体への国の支援として、民間の復旧支援技術協力を早急に実施する。
という提案です。
この①②の提案により、かなりの数の東北にいない多くの建設関連従事者の方々の力が活用できるようになります。
例えば日本の設計事務所の99%が10人未満の零細企業・個人事業主です。
これらの復興への大きな戦力は復興への参加協力への強い思いはあっても、ボランティアで参加できる体力がありません。
文字通り、募金や無償の直接ボランティア以外で、どうすれば自分も力を貸せるだろう?と自問自答し、指を噛み続けていると思います。
政治はこれらの大きな戦力を活用できるようにして頂きたいと思います。
今回の東北関東大災害は、不幸にして大勢の行方不明者・被災者を出し、海岸線に沿って面的に大きな広がりと繋がりをもった未曾有兎の大災害となってしまいましたが、逆に言うとそれだけ大きな地域を白紙で一から開発し直すということであり、ふつうであれば絶対に不可能な未来へ向けての将来構想を大胆に実施する千載一遇のチャンスということでもあるかもしれません。